可燃性建築パネルと針

昨年6月にロンドンの高層ビル「グレンフェル・タワー」で起きた恐ろしい急速火災で72人の命が奪われ、超高層ビルの安全性について世界中で疑問が生じた。

グレンフェルタワーを破滅させた同じ可燃性のアルミニウムパネルで覆われた建物が他に何棟ありますか?そしてそれらはどこにあるのでしょうか?

ここには何かありますか？

ロンドン火災から間もなく、民主党とクロニクル誌はロチェスターの高層ビルのアルミニウム外装を調査し始めた。 同紙は秋、ダウンタウンにある9つの著名なビルの建設に関する情報を市に公開記録請求することで調査を拡大した。

これらの記録は先月まで提供されなかったが、建物のファサードの構成については説明できなかった。 建物の所有者、建築家、供給業者、建設管理者に問い合わせても、最終的な回答は得られなかった。

市建築局と消防当局は、ロチェスターの高層ビルはすべて安全だと信じており、ここの高層ビルには可燃性パネルが設置されていないと考えているが、確かなことは分からないとしている。

ロチェスターの法規執行責任者のカート・マーティン氏は、地元の建物に容疑物質が付着しているかどうかの質問に対し、「法規は白黒はっきりしない。あらゆる場面で答えを得るのはそれほど簡単ではない」と述べた。

「本当のところは言えません。」

明確さが欠けている理由の 1 つは、ある時点で市が答えが含まれている可能性のあるアーカイブ文書を廃棄することを決定したことです。

最近リリースされた評価ツールがいくつかの答えを提供する可能性がありますが、これまでのところ地方自治体には採用されていません。

可燃性パネルのある建物を特定できないというこの驚くべき事実は、ロチェスターに限ったことではありません。 それは普遍的なものです。

「それらを見て、『ああ、これは不良だ』と言うわけにはいかない。そんなことは不可能だ。唯一の方法は、文字通りパネルを取り外してテストしてもらうことだ」とグレン・コーベット氏は語った。ニューヨーク市のジョン・ジェイ刑事司法大学の消防科学准教授。

「これは私たち全国的な問題だ。これにどう対処するかについて、誰もまとまった包括的な計画を立てていない」とコーベット氏は語った。

ロチェスターでも、他の無数の都市と同様に、安全当局はここでも同様の火災が起こる可能性があるのではないかと考えている。

ロチェスター消防局の消防保安官を務めるクリスティン・シュライバー副署長は、「イングランドでの火災以来、私たちは何度も話し合いを重ねてきた」と語った。 「このような状況は常に私たちにとって懸念を引き起こします。」

ロンドン火災：史上最悪の高層火災

彼らの結論は？ 「私たちの知る限り、ロチェスター市にはそのような構造を使用した建物はありません」と彼女は言いました。

しかし、シュライバー氏は、当局が100パーセント確信を持つことはできないことを認めた。

数か月にわたる調査の結果、民主党とクロニクルは、アルミニウムのファサードを持つダウンタウンの高層ビル 2 棟を特定しました。 ロチェスター リバーサイド コンベンション センターの一部もアルミニウムで覆われています。

しかし同紙は、ファサードが可燃性のものであるかどうかを判断できなかった。 シュライバー氏は、これら2棟の建物には可燃性パネルは設置されていなかったと主張したが、追及されても、そのような証拠は提示できなかった。

市には、これらの建物や、ロチェスターにある高層ビル * に該当する他の 60 ～ 70 棟の建物のほとんどの建設に使用された材料を示す記録が存在しないことが調査で判明した。

マーティン氏によると、記録は、たとえ資料が特定されたとしても、不要なものとして分類され、何年も前に捨てられていたという。

問題の高層ビルの 1 つの所有者は、建物の外側にどのような種類のアルミニウム パネルが使用されているかを正確には知りませんでした。 他の高層ビルの所有者らは度重なるコメント要請に応じなかった。

市は1980年代に建設されて以来、このコンベンションセンターを所有してきたが、当局は、そのアルミニウム製のファサードが可燃性であるかどうかを示す記録を見つけることができなかったと述べている。

大きな建物の屋外火災は簡単には発生しません。

「これらのパネルは、誰かが窓からタバコを投げてそれがパネルに巻き込まれるように、簡単に点火することはできません」とコーベット氏は語った。

より熱く、より持続性のあるソースが必要です。 海外ではいくつかの超高層ビルの外装で花火が打ち上げられた。 高層階のバルコニーのグリル、照明や電気システムの過熱、ゴミ箱や建物の基礎近くの車の火災などが原因となっています。

グレンフェルタワー火災はアパートの冷蔵庫の故障から始まりました。

現代の超高層ビルは、煙や炎が発生するエリアに煙や炎を封じ込めることを目的とした防火壁やドア、その他の機能を備えて建てられています。

新しい高層ビルでは長い間必要とされてきたスプリンクラー システムは、小規模な火災を消火し、人々が逃げて消防士が到着するのに十分な期間、大きな火災を鎮火することができます。

しかし、外装ファサードが可燃性のアルミニウムパネルで作られている建物には、特別な問題が発生します。 懸念はグレンフェルのような高層ビル、特に避難に時間がかかるため人々が眠っている可能性があるアパートやホテルに集中している。

炎がパネルアセンブリに到達すると、多くの場合パネルの隣に配置されていた断熱材に引火する可能性があります。 その後、パネル自体が上昇し、プラスチックのコアが燃えて溶けます。

溶けたプラスチックが下のエリアに火を運ぶ可能性があります。 燃えているパネルは、隣接するパネルや上の階のパネルを消火する可能性があります。

「文字通り、上の物質の真下にたいまつを置いているようなものです。物質は指数関数的に成長します」とコーベット氏は言う。 「あれは建物の全面を駆け上がっています。」

スプリンクラー システムや内部防火栓は、建物のファサードへの広がりを阻止することはできません。

「何もできないうちに、建物の全面が焼け落ちてしまうでしょう」とコーベット氏は警告した。

海外の火災では、炎が内部まで燃え移らず、住民が怪我なく避難できた例もある。 しかし、最悪のシナリオは、炎が複数の階の建物の構造壁を一度に貫通したり、熱により窓が割れて火災が侵入したりすることです。

今にして思えば、ロンドン当局はグレンフェル・タワーが火災の罠であったことを認めざるを得なかった。 最近の改修で設置された可燃性の外板に加えて、このアパートの建物にはスプリンクラーも全館火災警報器も設置されておらず、階段は 1 つしかありませんでした。

ロチェスターの消防・建築関係者らは、たとえ地元の建物にアルミニウムパネルが設置されていたとしても、最新の高層建築技術とスプリンクラーがあれば火災の暴走は防げると信じていると述べた。

ロチェスター消防署のエドワード・クッピンジャー大尉は、「たとえ火災が私たちの建物の1つで発生したとしても、ロンドンで起きたような特殊な状況はここでは起こりそうにない」と語った。

ロチェスターでは、ここ数十年間に起きた高層ビル火災のほとんどは集合住宅で発生しており、原因は不注意な喫煙者や台所のコンロの上に放置された鍋などが原因となっている。 建物内に広範囲に拡散したり、複数の死者を出したものはありません。

民主党とクロニクル紙が何らかのアルミニウム製のファサードを持っていると特定したロチェスターの 3 棟の建物はいずれも、その外装が設置されて以来火災に見舞われていない。

また、米国の他の地域では可燃性パネルに関連した高層火災が少なくとも30件報告されているが、複数の死者を出したものはない。

しかし、ある専門家は、過去に頼って将来を予測するのは最良のアプローチではないかもしれないと述べた。

マサチューセッツ州に本拠を置く全米防火協会の建物保護部門マネージャー、ロバート・ソロモン氏は、「歴史的な観点から見ると、本当に慎重に対処する必要がある」と語った。

「問題がなかったのは良いことだが、今日の午後、来年、あるいは5年後に何が起こるか分からない」と彼は語った。 「管轄当局がこれを再検討しないのはほとんど怠慢だろう。」

ロンドン火災後、米国の防火当局と地方自治体の当局者が対応に追われたとき、ある建物にどのような種類のアルミニウムパネルが設置されていたのか分からないという不愉快な認識に達した。

一部のタイプのパネルには耐火性コアが付いています。 コアが溶けて燃えるものもあります。 通常、目視検査では、それが何であるかについてはわかりません。 それらにはラベルが貼られていない、とコーベット氏は語った。

「彼らが（輸送）コンテナから出てきて建物の上に上がっていくのを実際にその場にいない限り、それを判断することは不可能です」と、以前はテキサス州の地方自治体の法執行機関で働いていたコーベット氏は言う。

コアの構成を知る唯一の確実な方法は、パネルを燃焼試験にかけることであり、これは費用と時間のかかる作業です。

時計：燃焼試験はどのように行われるか

ソロモン氏によると、グレンフェル火災の後、米国数十の都市の法規担当者がNFPAに対し、可燃性パネルが設置されている可能性のある建物を特定する別の方法を考案するよう要請したという。 その結果、約 2 週間前に発表されたのは、自治体や建物の所有者が無料でダウンロードして使用できるリスク評価ツールです。

ユーザーは、建物の構造と用途、考えられる火災の発火源、その他のデータについて知っていることを入力します。 ファサードが何でできているかユーザーがわからない場合、ツールはファサードに可燃性のパネルがあると想定します。

このシステムが「EFFECT」と呼ばれているように、建物のファサードが本当に可燃性だった場合に、その建物が居住する人々にもたらす可能性のあるリスクの尺度を吐き出します。 ユーザーは、建物の安全性を高めるための手順 (新しいドアの設置、火災警報器のアップグレード、屋外照明の取り外しなど) を検討してから、ツールを再度実行して、リスク評価がどの程度低下するかを確認できます。

「このツールは、人々が自分が何を持っているかを判断する方法を提供します」とソロモン氏は語った。

ロチェスター当局はこのツールを検討しており、実行するには有償コンサルタントの専門知識が必要となる可能性が高い。 しかし、ロチェスターの高層ビルには可燃性パネルが設置されていないことがほぼ確実であるため、EFFECTを使用する必要はないとシュライバー氏は述べた。

彼女と他の当局者も、虫の入った缶を開けることについて懸念を表明した。

「問題は、その情報をどうするかということです。」 マーティンは言いました。 「彼ら（所有者）にそれ（建物の外装材）を変更させる法律はない。」

市当局者によると、新しい建物が建設されると、通常、建築図面一式と、建物に使用される材料や調度品を項目別に記載した書類一式が渡されるという。

市当局者らは、図面のコピーをデジタル形式またはマイクロフィッシュで保存し、建築仕様書を含むバインダーを市のアーカイブに送っていると述べた。

州のガイドラインでは、自治体はそのような物質を6年後に廃棄できるとしているが、ロチェスター当局はこれらの物質を無期限に保管すると述べている。

ダウンタウンのほぼすべての高層ビルの建設を記録した古い記録は、誰かが参照する必要がある場合に備えて、保管スペースに紙に書かれて長年保管されていました。

しかし、もうそうではありません。 「途中のある時点で、誰かがそのようなものを削除するという素晴らしいアイデアを思いついた」とコードエンフォースメントマネージャーのカート・マーティン氏は語った。

ロチェスターにある9棟の高層ビルの建設関連文書を市に提出するようD&Cが公開記録を要求したところ、最近発行された建築許可の無計画なコレクション、数枚の古い設計図、そして市住民からの黄ばんだ手紙が入った単一の箱が見つかった理由がこれで説明できる。

記録には、建設方法や使用された建材の種類に関する情報はほとんど含まれていませんでした。

コーベット氏は、これは珍しいことではないと述べた。

「これは全国的に一貫性がない。ファイルが問題ない都市もあれば、ファイルがない都市もある」と同氏は語った。

通常、建物の所有者には詳細な図面と仕様書が渡されます。 しかし、時間が経つにつれて、特に建物の所有者が変わると、それらの材料は失われることがよくあります。

「そのようなものは保管されていません」とソロモンは言いました。 「すべてが大丈夫であれば、問題はありません。しかし、今、何かが泡立ち、誰もがそれが何であるかわからない、それがテストされたかどうかもわからないと頭を悩ませています。」

グレンフェルタワー火災から間もなく、米国のいくつかの都市の地元ニュースメディアが可燃性パネルで覆われた建物を特集した。

ボルチモアのホテル、シカゴのタワーマンション、クリーブランドのフットボールスタジアム――それらのプロジェクトは、ポリエチレンコアアルミニウムパネルのメーカー、アーコニック社がウェブサイトで紹介していたので、簡単に見つけられた。

しかし、それらの都市は例外でした。 ほとんどの場所で、どの建物に疑わしいパネルが貼られていたのかについての確かな知識はありませんでした。

全米防火協会のソロモン氏は、屋外火災の過度の危険をもたらす構造物を排除することが自治体の義務であると信じていると述べた。

「都市や管轄区域が、より証拠に基づいた科学的な評価を行う義務があるということは、十分な懸念だ。二度目の調査、あるいはおそらく一次調査による評価だ」と同氏は述べた。

ロチェスター市の副消防署長シュライバー氏は、当局は地元の建物に可燃性パネルが設置されているという証拠は見当たらないが、引き続き調査を行うと述べた。 彼女はメモを比較するために市の建築部門と会う予定です。

彼らが議論する可能性が最も高い2つの建物は、民主党とクロニクルによって特定された一対の高層ビルである。 両方の建物のファサードには、アルミニウム パネルが含まれているとニュース記事やその他の資料で説明されています。

民主党とクロニクル紙は、懸念の原因があるという証拠が不足していることと、不必要な警戒を避けるため、現時点では建物の名前を公表していない。

市の建築当局は、パネルが可燃性のものかどうかは分からないと述べた。 同紙の情報公開法の要請を通じて調査された記録は、質問には答えていない。

建物の建築家、一方の建物の外装を施工した会社、もう一方の建物の建設を管理した会社に対する問い合わせは無駄に終わりました。

シュライバー副署長は、ジョン・シュライバー署長は、建物の1つのパネルに可燃性プラスチックの断熱材が入っていないと確信していたと述べた。 どうしてそれを知ったのかと尋ねると、彼女は答えなかった。

アルミニウム外装を使用していると確認された 3 番目のダウンタウンの建造物は、1980 年代半ばにオープンしたロチェスター リバーサイド コンベンション センターです。 そびえ立つアトリウム、大きなボールルーム、多数の小部屋を備えたこの構造は、高さ 4 階建てに相当します。

そのため、市当局者らは、可燃性パネルが存在する可能性はそれほど重要ではないかもしれないと述べた。 「コンベンションセンターは厳密に言えば高層ビルではないので、懸念は別のものだ」とシュライバー氏は語った。

彼女は、建物の少なくとも一部はスプリンクラーによって保護されていると述べた。

それでも、市の複数の部門が建物のアルミニウム製ファサードを説明する記録を探したが、何も見つからなかった。 この建物を設計したニューヨーク市の建築会社は記者の問い合わせに応じなかった。

この可燃性パネルは 1970 年代に市場に登場し、数え切れないほどの米国の超高層ビルで使用されました。 ニューヨークやロチェスターで使用されているものを含め、この国のほとんどの建築基準法では、そのような材料の使用にほとんど制限がないか、まったく制限がありませんでした。

2003年にニューヨーク州が採用した条例では、耐火性を測定する燃焼試験に合格しない限り、建物の4階または5階以上で外装複合パネルを使用することを禁じている。 この高さは消防ホースが十分届く範囲にあります。2012 年に規則が改正され、状況によっては燃焼試験に合格していないパネルを高層階のさらに高い場所で使用できるようになりました。

海外の建築基準はアルミ複合パネルに関しては緩く、多くの超高層ビルが上から下までアルミ複合パネルを採用している。

高層建築が大ブームとなっているドバイやアラブ首長国連邦の他の都市には、可燃性パネルで覆われた何百もの建物がある。 これらの都市では、驚くべき一連の屋外火災が発生している。

これに応じて、政府はドバイの多くの高層ビルから可燃性パネルを撤去するよう命じた。 ロンドン火災後、イギリス、ドイツ、オーストラリアなど他の国の当局も、場合によっては高リスクパネルを交換するよう指示した。

米国では高層ビルからパネルが撤去されたという公的報告はない。

シカゴ市建築局の広報担当者ビル・マカフリー氏によると、シカゴでは当局が58階建てのマンションに可燃性のパネルが設置されていることを確認したが、当初は一連の防火機能が備わっているため安全だと判断したという。

同氏によると、市当局は所有者から委託された技術者の報告書を精査し、可燃性被覆材のリスクについて国内外の専門家と協議を続けているという。

市住宅局の広報担当タニア・ベイカー氏によると、ボルチモアでは、32階建てホテルの所有者らが防火分析を行ったところ、その構造が該当する基準をすべて満たしていることが判明したという。 市当局もその分析に同意しているという。

一般に、このようなファサードの存在は、米国では海外に比べてそれほど脅威ではないと考えられています。 ここでは可燃性パネルが関係した複数死亡事故は一度も発生しておらず、近年では注目を集めた屋外火災も発生していない。

防火教授のコーベット氏は、市職員や建物の所有者はこの状況を過度に慰めるべきではないと述べた。

コーベット氏は、「これらの事件では、まだ大規模な複数人死亡火災は発生していない。しかし、それはルーレットのようなものだ」と語った。 「それは間違いなく米国で起こる可能性があります。他の火災と同様、それは一連の出来事です。それらが適切に連携すれば、得られるものは得られます。」

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*米国建築基準法では通常、高さ 75 フィート以上の構造物を高層建築物として分類します。 1 階あたりのフィート数の比率は異なる場合がありますが、その高さはおよそ 8 階建てに相当します。 ロチェスターで最も高い建物は、高さ 443 フィートのゼロックス タワーで、30 階建てです。 少なくとも 15 の地元の建物が 200 フィート以上の高さになっています。